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ROBO358が作成した作品をまとめた

混雑緩和システム

プロジェクトと呼ばれる大学のグループワークにおいて、COVID-19で発生した混雑回避の必要性をサポートするシステムの研究・開発を行った。

教授の起案に乗っかる方法もあるが、今回は上記内容で私含めた数人で起案をした。既に存在する混雑回避システムによるプライバシーへの問題を提起し、これを解決する手法を提案した。

プロジェクトのリンクはこちら:https://www.ne.senshu-u.ac.jp/~proj2021-19/index.html

概要

大学構内の食堂や教室の混雑状況監視を行えるようなシステムづくりを行い、他の施設等への転用が可能になるようにしたいと考えた。

既存のシステムでは、カメラ画像等から機械学習を使用して人を認識、カウントを行うことで混雑状況を把握している。しかし、これには鮮明なカメラ画像が使用されており写っている人物の顔写真などが悪用される危険性がある。これには、システム側で厳正に処理(削除)を行っているなどシステム設計者への性善説に基づいた反論も考えられるが、不正アクセス等で鮮明なカメラ画像を取得できてしまうなど問題がある。

そこで、IoT技術を用いて不鮮明な画像を収集し、機械学習によって混雑状況を分析、利用者の行動を変容できることを目指した。

既存のシステムの問題点

既存のシステムでは、監視カメラや店舗内のカメラから鮮明な画像データが処理の過程で扱われているかわからず、ブラックボックスになってしまっている。システムには、注意書きとして使用される画像データには外部からアクセス不可能と示されているが、外部への流出の可能性も捨てきれない。そのため、個人のプライバシーを含む鮮明な画像を用いた手法はプライバシー保護の観点において不十分であると考えた。

システムの特徴

上記の問題点を解決するために、画像取得の段階で個人を判別不可能になるまでぼかしを加え、これをもとに機械学習を利用し混雑度を算出する手法の研究とその応用システムの開発を行った。

システムは、不鮮明な画像を取得するカメラとカメラ画像を取得するシステム、機械学習によって画像から混雑度を算出するシステム、各種データの保持をするDB、混雑状況を公開するWebアプリケーションからなる。

私の役割

研究・開発を行ったシステムの情報はプロジェクトのページにかかれているので、ここでは私の立場や関わり方について残しておきたいと思う。

まず、私の立場についてお話する。起案の中心人物としてプロジェクトを立ち上げたこともあり、プロジェクトリーダとなった。このプロジェクトでは、担当教員よりリーダにプロジェクト運営を一任されていることもありほぼすべてのリソース管理等を行った。

運営には、PMBOKに則って運営していた。しかし、仕事として金銭の授受がある状態で研究・開発を行っていたわけではなかったため、一人ひとりのモチベーションの維持・管理に追われることが多かった。また、起案メンバと募集メンバ(起案メンバ以外)が元々持ち合わせている技術力の差などにも困ることが多かった。

タスク管理では、Redmineを使用し、すべてのタスクをチケットにて管理した。また、ニュースや文書(議事録の管理)、Wiki、フォーラムなどほぼすべての機能で管理した。対面で研究・開発を行っていたなら、こんなに隅々まで管理する必要はなかったかもしれない。ただ、世の中が緊急事態宣言やSocial Distanceなど言われている中、オンラインで進めていくために仕方なかったことだったと思う。

その他、対外的な作業も一挙に担っていた。プロトタイプの実験には実際に教室を借り、人がいる状態で情報取得を進めていく必要があり、教室の借用や全体としての発表会のセッティング・調整なども行った。

システムの評価・考察

このシステムでは、システムの有用性や精密性を図るため人数を算出したが精度が70%出ている。その上、大きな誤差を生じさせることも少なかった。そのため、このまま実運用を行っても問題ないと考えられる。即時性という面では、画像の撮影からユーザへ混雑度を表示するまでに30秒もかからず高い水準を満たせると考えられる。

混雑状況監視を行うシステムは商業施設や駅など多くの場所での使用が考えられる。そこで重要となるのが転用のしやすさである。今回作成したシステムは全体として、WebAPIで動作しているため転用・カスタマイズが容易である。また、画像を撮影する頻度や混雑度を算出する枚数を調整することで、人数の多い場所でも少ない場所でも応用できると考えられる。

私の評価・考察

正直、最高のプロジェクトマネジメントはできなかったと思う。(必修科目でないこともあるが)途中離脱者が発生したのも、私に責任の一端があると思う。ただ、システムを最後まで作り、最終発表会前には全員が一丸になってシステムの動作確認や資料見直しなどを進めていた所を見ると少しはうまくできたかなと感じる。

また、タスク管理を隅々まで行ったことも先生方より一定の評価を得たことができた。

今後の展望

現在のシステムの問題点として、コロナ禍におけるプロジェクトであったため本番に近い稼働状態でデータを取得することが難しかった事が挙げられる。人数もコロナ禍ならではの人数であり、より多くの人が密集する場所では正常なデータを算出することが難しくなると思われる。そのため、実地にてデータの収集・学習を進められればより一層よいものができると考える。

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テーマの著者 Anders Norén